■原竹 純(JDDA理事兼事務局長) 【オリジナリティー】

 一般部門ですが、大きく分けるとダブルダッチを始めたばかりのチームと、学生時代に組んでいたチームを引退した人たちや社会人のチームの2つに分けられると思います。
 ダブルダッチを始めたばかりのチームは、まだオリジナリティーの得点を上げる事が難しいと思いますので、基礎をしっかり練習し、人前で演技を披露する経験をたくさん積んで頂ければと思います。学生時代に組んでいた チームを引退した人たちや社会人チームはしっかりとオリジナリティーの項目を考慮したパフォーマンスで、す ごく良かったと思います。一般部門の中で「オリジナリティー」の項目で高得点を付けたのが『Social FAM』、『Fami 狛』、『碧い夢』でした。3チームともタイプは違いますが、それぞれが新しい跳び方、回し方、組み合わせ方、 見せ方にチャレンジし、成功させていたと思います。

 オープン部門はオリジナリティーを考慮しているチームと、そうでないチームとはっきり分かれていたように 感じました。オリジナリティーを考慮しているチームは経験豊かで、新しい事にチャレンジしているチームに思 え、審査していてすごくワクワクしました。新しい事にチャレンジするという事は「ミス」という大きなリスク を背負う事になると思います。ですが、他のチームと差を出し、「勝ちたい」というチームはぜひ新しい事にチ ャレンジする事を続けていってもらいたいです。今回の EAST 大会の「オリジナリティー」の項目で一番高得点 を付けたのは『青天井』でした。他を寄せ付けない倒立系の技や、アクロバット系の見せ方は見事でした。また、 『DIANA』や『跳*Spirit』もターナートリック系をたくさん駆使しており、高得点を付けました。

ジャンパートリックに注目されがちなダブルダッチですが、ターナーの基礎があるチームは、ミスのリスクが 高くなりますが、ぜひ今後ターナートリック(回しながら跳んだり、色々な回し方をしたり、リリースなど)に もチャレンジして、オリジナリティーのポイントをさらに獲得してください。


■渋谷直樹(Cracker Jack) 【構成力】

 構成力の採点項目として「オープニング・エンディングの演出」「メリハリ」「ステージの広さを生かした演出」などありますが、これらをあえて一言で言い表すなら「観客を飽きさせない(=夢中にさせ続ける)構成になっているか」だと思います。
 「独自のコンセプト(色・世界観)」を出し、「どんな技」を「どのタイミング」で「どこで(ステージ上の位 置)」で行うか...。こういったことを、2分半の演技で考えに考え抜いて1カウントも無駄にせず構成されてい れば、その演技は必ず見ている人の心に残ります。

 ダブルダッチを初めてまだ日が浅いチームでは、出来る技などが限られ独自コンセプトも出しにくいかもしれ ません。その場合は「タイミング」と「場所」を意識してみてください。自分達の持ち技を効果的な「タイミン グ」で見せられればそれはメリハリに繋がります。
 技を見せる「場所」をステージ上の前後左右、さまざまなところで動きながらやることで、ステージを広く使 ったダイナミックな演技が出来ます。意外と「場所」に関して意識できておらず、ステージの後ろ半分で演技を してしまっているチームが数多くありました。ステージを広く使いつつ、出来ることなら前のほうで観客に向け て演技しましょう。

上記のようなことがきちんと出来ていて、私が高得点をつけたチームは、一般部門では「Social FAM」、オー プン部門では「惚翔魁」「Lil' Dice」です。これらのチームは、ステージ上を縦横無尽に動き回り、チームメン バー全員による怒涛の演技で見るものを圧倒させ、2分半観客を魅了させ続けることができたチームだと思います。
 ダブルダッチに正解はありませんが、皆さんの実現したい「コンセプト」を2分半の演技に全力で込め、1カウントも無駄にせず作りきってください。


■SHUN(J-TRAP.) 【完成度】

 今回完成度の得点基準として主にあったのが"全体の成熟度""技や動きの統一感""パフォーマンスとしての完成度"で、そこから"難易度"に応じて基本点をつけていきました。もちろんミスをしない方が良いは良いのですが、難易度を落とした演技は点数が伸びなかったかと思います。
 また、全体を通してパフォーマンスとしての完成度が高いチームというのが少なかったように感じます。
 ステージに立っている以上はパフォーマンスの一部なので何もしない時間が長いのであれば一度はけてみる などの工夫も必要かと思います。もちろん全体で合わせた動きがとれるのが一番理想だとは思いますが…。
 ショーとして魅せるという部分も追求してみてはいかがでしょうか。

 最近は似通ったパフォーマンスが多くなってきています。出だしから最後まで自分たちだけの完成されたショーケースを魅せることができれば印象もだいぶ変わるので、今回のような接戦では大切な加点要素になり得ると言えるでしょう。

 最後になりますが、ダブルダッチは評価されて得点が出るものです。ですので、ジャッジも必要ですがジャッジが言うことすべてが正解ではありません。もっと広い分野に目を広げ、もっと自分たちのやりたい、自分たちしかできないパフォーマンスというものを追求してほしいと思います。
 今回のような熱い気持ちがぶつかる大会でジャッジをさせていただけたことに感謝します。勝ち残ったすべてのチームは誇りを持って JAPAN に挑んでほしいです。


■TMY(Who is Respected/CHROM) 【技術力】

 EAST 大会は、ジャンプトリックのスキルに関して、一般部門・オープン部門共に毎年どんどんレベルアップしているなと感じました。しかし、その中で両部門に目立ってしまったのが、「縄の技術」の雑さです。この点が 雑なためミスを招いてしまったチームが多かったと思います。
 また、「縄の技術」といった点で目立ってしまったのが、チーム内での技術のレベルのバラつきです。ペアによっては縄が落ち着いていたり、また別のペアでは急に縄がきたなくなってしまったりしているチームが見てい て多かったです。やはりダブルダッチプレイヤーであるならば、「ジャンプスキル」「アクロバットスキル」の前 に、「縄のスキル」を、なおかつこれをチーム全員でレベルアップしていくことが不可欠だと強く思う大会でした。
 「縄の技術」に関し、もう一点あります。
 チームの仲間がアクロバット、ダンス、ベーシックのジャンプをする時にどうゆう跳び方をしているか、(ダンスなら 8 カウントの時に少し遅く縄をゆるめて回した方がいいな、など)チーム内でもっともっとメンバー一人一人が把握できればミスも減り、レベルアップに繋がるのではないでしょうか。  あとは NORTH 大会でも言ったことですが、ダンスに関してです。
 アクロバット同様、「基礎」「技のキレ」がしっかり大会で出せるレベルになっているかどうか、チーム全体で 把握することも大事ですね。少し安易にダンスをしている選手が多いです。なので「ダンス力の技術」の面も次 に繋げる為にもう一度見つめ直してみてください。

総合的にみたときに、「ロープスキル」「アクロバットスキル」「ダンススキル」などのレベルが、どのくらいの力量であるか自分で理解をし、そのレベルでの 100%を本番で出せれば、良いパフォーマンスに繋がります!

このような点で今回 EAST 大会の「技術力」では、 < 一般部門 > 『Waffle』『CLUTCH』『Fami 狛』といったチームが他チームより高評価を獲得しました。 < オープン部門 >では、『惚翔魁』『SNOWMAN』『Lil'Dice』『91legs』『Chap-Lin』『青天井』といったチームが他チームより高評価を獲得しました。


■SANA(現役ステージダンサー/桜覇) 【表現力】

 表現力のジャッジで、三分間途切れることなくパフォーマーでいられるか、客席を引き込み魅せようとする気持ちが伝わるか、チームの空気間が統一されているか、そして演技中の表情を重視して審査しました。 この四つの点で優れているチームが多く、とても刺激的な大会でした!! 逆に惜しいと思うチームもたくさんありました。たった三分間の一度しかないチャンスで、衣装や髪を気にする・棒立ち・オーラのない後ろ姿や移動は、チームの良い流れを止めてしまい非常にもったいないことです。

 1 カウントの隙も作ってはいけません。

 ミスをしても、慌てるか堂々とするかで印象が変わります。観客何百人もの目は自分たちしか見ていないということを忘れず、常にチーム全員がパフォーマーでいることが大切です。衣装着用での練習、デモを映像に撮って納得のいくものであるか(表情、音の取り方、縄の抜け方、余韻、統一感など)を客観視し、細部までチェック するともっと良いパフォーマンスができると思います。特に表情、音の取り方、アクセントの強さは少し違うだ けで大きく変化します。
 またデモが始まる最初の表情、勢い、演出でチームの印象が決まることがあります。
 是非そこで観客の心を掴み、最初から最後まで自分たちの世界に引き込み、前に前にパワーを出し続けてください。
 今回表現力で最高得点を獲得した『ソーシャル・ファム』は全員が同じテンション、同じ雰囲気で、統一感ある中での一人一人の個性、勢い、表情が素晴らしかったです。
 ダブルダッチは楽しみ、楽しませるということを再確認させてくれた、片時も目を離せないパフォーマンスでした!!