■原竹 純(JDDA理事兼事務局長) 【オリジナリティー】

 過去最高数の出場チームが集まったWEST大会が幕を閉じました。
 全体を通して、WEST大会参加チームはダンスがすごく上手な印象を受けました。しかし、せっかく上手なダンスをただ回っているロープの中で踊るチームが多かったので、ロープの中で踊るだけではなくて、ターナーも回しながら踊ってみたり、ターナートリックをしながら踊ってみたりと変化をつけるとオリジナリティーになりますので、審査項目にもある「新しい見せ方」をさらに追及していくと高評価に繋がると思います。
 これは、ジャンパートリックやアクロバットも同様です。少し残念だったのが、ダンスに偏りすぎていて、ジャンパートリックやロープトリックをあまり取り入れて無いチームが大変多かったという事です。チーム全員で考えると、色々なジャンパートリックやロープトリックが生み出されると思います。私個人としてはこのチーム全員で考えて、新しい発見をするというのがダブルダッチの楽しさの醍醐味の一つだと思いますので、ぜひチーム独自の新しい「技」をみんなで考えてみてください。
 そして、今できる「技」と新しい「技」をチーム独自で組み合わせて、チームのオリジナルムーブにしていってください。
 今回オリジナリティーで最高得点を付けたのが、『M.A.D』でした。誰にも真似できないような多彩なスピードステップや、アクロバットの見せ方、チームの特色、他のチームにはない観客を引きつける独自の技などパフォーマンス中大変興奮したのを今でも覚えています。さらに、ロープを震わせて回す発想に鳥肌が立ちました。
 また、\(^o^)\/(^o^)/(ナンツウコッタイ)、American Sprit、Mythologyにも高得点を付けました。


■HKR(alttype) 【技術力】

 技術力の審査では、パフォーマンス中の「ジャンプスキル」「アクロバットスキル」「ターニングスキル」がどの程度のレベルなのかというところに着目しました。審査をしていて感じたことが何点かあります。

 まず、ジャンプスキルについてです。単純に、ダンスをみせるならもっとダンス技術を磨いたほうがいいです。ジャンプスキルにおいて個性を出せるはずのダンスですが、熟練度において抜き出たプレイヤーが少なかったので、どのチームも同じようにみえてしまいました。ダンスを取り入れるならそのダンスのルーツを学び、理解する必要があります。このことを理解しているプレイヤーが少なかったのか、ほとんどのダンスが取って付けたような無個性なものに見えてしまいました。特に、流行りのジャンルをパフォーマンスに取り入れるのなら「他との差別化」を意識した振り付けや工夫をする必要があると思います。

 次に、アクロバットスキルについてです。思ったことは、どのチームもアクロバットの縄の通し方がシンプルだということです。シンプルなのはいいことですが、ほとんどのチームが同じような技を同じように通していたので、評価はほとんど横一線でした。自分のアクロバットの癖や個性を活かした通し方や縄との融合を考えて、もっと色々試みてほしいですね。
 今回高得点だったチームは一般部門だと「\(^o^)\/(^o^)/」、オープン部門だと「Neighbor Hood」「Mythology」「DALE」「Dandelion」「Vent.E」です。これらのチームは、スピードステップ、スピード、フロアアクロバット、空中系アクロバットをしっかりメイクし、縄を通していたことが高得点につながりました。


■タロー(Fat man Crew) 【構成力】

 一般部門では上回生も多く挑戦的なパフォーマンスをしているチームが多かったです。一曲使いであったり縄技であったりとコンセプトがはっきりわかるチームが印象的でした。

 全体的に見せ場までの流れがもったいないチームが多く、もっと個人が栄える工夫をして欲しかったです。パフォーマンスの型がいくつかのパターン化されてきており似たようなパフォーマンスや見せ場の見せ方が多く、技は凄いですが流れで魅せれてない気がしました。
 会場の空気をコントロール出来てないチームが多かったです。盛り上がり方でも驚きから来る湧き、所属するサークルから声援、技が決まった時の歓声。期待通りに来た技から来る歓声と良い意味で期待を裏切った時の歓声を使い分けながら見せ場を作って欲しいです。どのような盛り上がり方をしたら会場がより盛り上がるのか、拍手のポイントも考えながら構成を決めていけばもっとより良いものになると思います。

 オープン部門で高得点だったのは「M.A.D」、一般部門では「\(^o^)/\(^o^)/」です。この2チームの共通点として新しい技の出すタイミングがとても上手く、一気に観客の心を掴んでおりパフォーマンスの最後まで盛り上がりを維持出来ていたチームです。盛り上がるポイントがあってもその後に落ち着いてしまう流れがくると単発の技だけになってしまい全体の流れとして印象が残りにくくなるので、盛り上がった時こそその後の構成をこだわって欲しいです。

 あと表現力を意識しているせいか現役ならではの勢いが感じられないチームが多かった気がしました。構成力の項目で「使用する曲と演技の融合感」があるので、表情も振りとして落とすことも大事ですが観客の気持ちを掴むのには時には感情を出すことも必要なのかなと感じました。
 情報は昔よりいくらでもあります。映像もYouTubeを見ればいくらでもあるので多くのパフォーマンスを見て良いと感じたものを自身のチームに合う形で落とし込み、より良いパフォーマンスを作って下さい。


■TAKE(SPAS-12) 【完成度】

 まず今回のWEST大会では非常にもったいないミスが多かったです。ノーミスだったのはNeighbor Hoodだけでしたね。このチームは縄がとても安定しており安心して見れました。
 後のチームはスピードステップの最後の抜けミスやミスの立て直しに時間がかかってしまうなど、本来のパフォーマンスを見せきれていない場合が多かったです。どんなモチベーションで日頃練習しているのかがこういう大会で出てくると思います。
 本番のステージを常に意識して練習しているチームは縄もダンスもアクロもクオリティの高いものに仕上がってそれが結果に反映したと思います。

 何の為に練習してきたのか、もちろん全チーム、ステージで自分達の最高のパフォーマンスをする為、そして勝つ為に練習してきたのだと思います。ただ、淡々と凄い事をやり会場を湧かせるのか、自分の思いを込めそれを出し切り観客に伝えて会場を湧かせるのか。この二つの差が非常に大きな差として順位に出てくると思います。
 ただノーミスを出せば良いという事では無いです。ノーミスを出した上で何を観客に伝えるのか、それが大切です。
 そういうスタンスでパフォーマンスの事を考えてきたチームはたとえミスをしてしまったとしても観客の心に残ると思います。完成度の観点から言えば、ミスの数はもちろんの事、縄のキレイさや全員のダンスのクオリティを揃える、メンバーのパフォーマンスに対する雰囲気作りの統一感、そしてこの世界観が統一され成熟出来ているか等々、細かい所のクオリティにも影響してきます。入賞したチームは、そういった細かい所のクオリティが高かったです。

 今大会JAPANに行けなかったチームもこれからJAPANで戦うチームも、これからダッチのパフォーマンスをする上で、さらにさらに良いパフォーマンスが出来ると思います!
 各々今大会で感じた事は様々だと思います。良かった所悪かった所、負けたチーム、勝ったチーム。でも優勝するのは1チームです。負けたチームは何で勝てなかったのか、勝ったチームはさらに良くするにはどうすれば良いか、自分の限界を作らずにもっと考えて見て下さい。そして日頃からどういうモチベーションで練習するのか。これからも惜しみ無くダッチに励んで下さい!!皆さんWEST大会本当にお疲れ様でした!


■KAME(Ballon D'or) 【表現力】

 表現力の評価において、選曲と衣装、表情の作り方、チーム全員で雰囲気が共有されているかを中心に見ました。今回WEST大会では、ただスピードステップをやる、ダンスをやる、スピードを入れるなどといったことはなく、技術が上がってきたことと共に、工夫されたパフォーマンスが多かったように感じます。
 しかし、全体的に表情が終始一緒であったり、縄の中で手を動かしてダンスをする、同じスピードステップをするなどが多く、観客が引き込まれるパフォーマンスは少なかったです。

 表現方法は、表情を喜怒哀楽で見せたり、縄を工夫して見せたり、身体の動きで表現してみたり、曲を編集してみたり、立ち位置を変えてみたり、たくさんあります。このカウントは表情で魅せるのが良いのか、縄で音を表現するのが良いのか、動きで工夫するのが良いのかなど、それら1つ1つのものに意図があるパフォーマンスになると、3分間がとても濃い素晴らしいパフォーマンスになると思います。
 1カウント1カウントに伝えようという気持ちがあれば、必ず観てくれている観客の方に伝わります。まず、パフォーマンスをする際に『なぜ?』を考えてみてください。伝えたいことを指先まで表現していくと更にレベルの高いパフォーマンスになると思います。

 パフォーマンスは観客の方へのプレゼントだと思います。人を動かすパフォーマンスをしなければ観客の方には伝わりません。人を動かすパフォーマンスをするためには、
①自分が何を伝えたいのか
②相手が何を期待しているのか
③どうしたら伝わるのか 
 が必要です。相手に伝わらなければただの成果発表になってしまいます。
 今回表現力で評価が高かったチームは一般部門では「\(^o^)\/(^o^)/」、オープン部門では 「Neighbor Hood」「M.A.D」など上位のチームは会場を巻き込む勢いがありました。
 そのチームでしか伝えられないパフォーマンスだったと思います。自分達にしかできないパフォーマンスを目指して頑張っていってください。